竹田 輝久 様

オリンパス・ベトナム社はしっかりと整備された教育体系図をお持ちで、毎年各階層に対して研修を実施されている、人材育成に大変熱心な会社です。弊社は2013年からお付き合いをさせていただいております。教育体系図を1から整備され、お会いするたびに人材育成の重要性や課題を熱心にお話される竹田様からは、弊社も学ぶべきところが多いです。

そんなオリンパス・ベトナム社のSenior Manager(インタビュー当時)である竹田様にお話を伺いました。


研修を実施しようと思われた背景・目的を教えてください。

一般性の高い研修は外部教育機関に依頼し、計画的に実施

弊社では「階層別教育」と「機能別教育」を柱とした教育体系図があります。スタッフ体系図とワーカー体系図があり、スタッフは入社直後から、ワーカーは製造ラインのリーダーを中心に教育を実施しています。日本のマザー工場でも同様の体系図を元に、職能資格別、役職別、機能別(仕事の種類別)に教育をしています。創業5年が経過した2013年にベトナム工場でも組織の潜在力を底上げするために、教育の枠組みを整備した背景があります。大きく分けて3種類あります。

①本社から講師を招聘している教育

②本社の講師のもとローカル社内講師を育成して研修を内製化している教育

③外部教育機関に委託している教育

エイムネクストさんにお願いしているのは③のケースとなります。

全ての教育を自社内でまかなう事は出来ないので、一般性が高いものについては外部教育機関にお願いする事にしています。製造業の核となる教育は本社の支援を得て自社内で行います。体系を作って計画的に実施すると、企画者が忙しいから研修が実施されなくなるなどのムラが無くなる事は大きいと思います。必ず前期末には翌年の教育計画を立てて、人事教育担当のもと粛々と教育計画を進めていく事が継続的な取り組みには大切です。クオリティーの高い外部教育機関を利用すると、自社であれこれ考えるより、放っておいても自動的に進んでいく事も大きなメリットですね。ベトナムではありがちな社内講師の本業が忙しいから、予定していた研修がキャンセルになるという事もありません。また、本筋(本来のニーズ)とは違うのですが、ベトナムではベネフィットとしての教育というのも、従業員が定着する魅力的な会社であるためには必要な要素だと考えています。

 

研修の導入によって実現したかったことと、実際の結果について教えてください。

短期間では成果は出ない

教育体系図を導入してから5年間続けてきましたが、この研修がこの結果に繋がっているという様な明確な成果というものはありません。例えば、自分の部下が論理的な説明能力に欠けるからといって、素晴らしい教育機関のロジカルシンキングの講義を受けたら直ぐに効果が出るかといったら、そうではないですよね。一助にはなるのですが、上司が仕事の中で繰り返し指導していくことにより、徐々に論理的な説明の仕方が出来るようになっていく。ただ、企業内教育が大切なのは、上司一人の意見としてではなく、社会的もしくは会社的なコモンセンスとして教育している、指導している内容が正しいということが従業員に伝わる事です。従業員が一般的に正しいと認識してくれる事で、上司の指導をより受け入れやすくなります。上司としても何度も説明する手間が省ける事はありがたいですよね。

 

共通言語としての教育

仕事を進める上で、部長(主に日本人)と課長(ローカルスタッフ)と係長(ローカルスタッフ)と一般スタッフの考え方や価値観が違うと困ります。頻繁にミスコミュニケーションが発生する日本人とローカルスタッフ間だけでなく、ローカルスタッフ間でも課長と一般スタッフが同じプロトコルで仕事をしていれば間違いは少なくなりますし、業務スピードも上がります。当地では世代間において基礎教育の違いが有るように強く感じますので(40歳と30歳と22歳では価値観が全く違うことはリスクの1つ)、共通の教育を行う事により会社内での共通言語を揃えるというのは大変重要な取り組みだと考えています。特に当地では、社内教育をするということは、一個人の成長だけでなく、コミュニケーションに起因するリスクを回避して、会社としての意思決定・業務スピードを上げるうえで不可欠ではないでしょうか。

 

継続的な教育は企業文化を創る

体系的・継続的に教育を行う事の必要性は感じており、継続した教育が企業文化の主要な部分を作っていく事は間違いない事です。基礎教育の差だと感じますが、若くして完成している日本人に比べて、ベトナムの方は働く為に必要なノウハウを知らず、会社に入ってから急速に吸収する傾向が有るように見て取れます(彼らもそれを欲している)。そういった意味からも、社内・社外の教育をバランス良く取り入れて、若干層から計画的・継続的に行う事で、染まっていない若手にこそ社内教育の効果が高いのではないかと感じています、実情としては26歳くらいまでに1回は転職する可能性が高いので、実際には余り若年層に対しては投資効果が薄い気もしますが。

 

効果測定と定期的な研修の見直し

何らかの指標で教育効果を可視化できないとプログラムの見直しも出来ません。効いているのか、いないのか、分からないので取り敢えずやり続けるしかない、という状況が有るように感じます。既に5年間継続してきましたが、現地法人社長や本社にも明確な因果関係の説明ができません。この点は今後の大きな課題です。

 

弊社を選んだ良かった点を教えてください。

特に下記3点がエイムネクストの強みだと思います。

・講師の評判が良い/質が高い。

・日本型の研修というだけではなく、当地に適応している。

・製造業に強い。

 

■今後弊社に期待する点を教えてください。

特に下記4点を期待しています。

・受講者にとって楽しいだけではなく、厳しい研修であること。

・効果測定方法に関する会社へのコンサルテーション。

・講義内容の詳細の共有。

・講座開発のスピードアップ。


竹田様、インタビューにご協力いただき有難うございました!

竹田様のご指摘の通りで、日本人の方が研修内容を理解していただくことは重要な要素の1つだと思います。現在のところ、日本人の方に対して研修概要をまとめた資料はお渡ししておりますが、今後はより詳細内容をご理解いただけるように柔軟に対応して参りたいと思います。