【連載コラム】第7回:人事評価を通じて能力開発を促進する

この度、弊社AIMNEXT VIETNAMは貴社のベトナム人の人材活用に役立つ
ことを期待し、【ベトナムにおける人事評価制度の設計・運用】をテーマ
に記事をシリーズ化しました。

今回は最終回の第7回目の記事を送付させていただきます。
今までご購読頂き、誠にありがとうございました。

今後も皆様に役立つ情報を発信して参ります。

                  記

『ベトナムにおける人事評価制度の設計・運用』
 
第7回:人事評価を通じて能力開発を促進する
 
数多くの企業様を訪問してきた中で「教育に力を入れたいが、何から始めて
よいかわからない」という方が想像以上に多いと感じています。

ある調査によると、日本企業における研修への投資額は、欧米企業と比べて
1/3程度だとされています。ただでさえ、日本企業における給与は、欧米企業
や韓国企業よりも低いとされる中で、教育の機会も少なければ、ベトナム人が
日本企業で働く魅力がなくなってしまうのではないでしょうか。

そこで本日は、「教育をしたい」という想いを実現させるためのヒントとなる、
効果的な能力開発のプロセスやポイントについて触れていきたいと思います。
 
効果的な能力開発のプロセスとポイント
STEP 1:改善点を明確にする
 効果的な能力開発を実現するためには、「適切な教育を、適切な方法で、
 適切な人材に、適切なタイミングで行う」ことが求められます。そのために、
 各階層・各部門の役割責任(理想)と人事評価の結果(現実)を比較・分析
 しなければなりません。ここで重要になってくるのは、適切な評価項目が
 設計されているかどうかということです。もし、設計されていなければ理想
 と現実のギャップを正確に把握することが難しくなります。

ポイント:各階層・各部門ごとに、適切な評価項目を設計すること。
評価項目設計のポイントは、第4~5回の記事をご参考ください。
 
STEP 2:教育を計画・実施する
教育テーマ、内容、方法、対象者、時期を計画する
 教育テーマ、内容、対象者、時期に関しては、STEP 1で述べた内容を実施
 すれば、自ずと決まっていきます。
ポイント:手法は、以下のようなニーズに基づき適切なものを選択、
もしくは組み合わせること。
手法 ニーズ
OJT 日常業務の遂行に必要な知識・スキルの
習得に有効。
Off-JT
(研修)
実務では学ぶことが難しい、専門領域や
理論の体系的な習得に有効。
自己啓発 研修の予習・復習や、本人が自主的に
学習したいテーマ・内容があるときに有効

教育の目的、改善点、教育後に期待する姿を対象者に伝える
 Off-JT(研修)でよく見受けられるケースは、研修前に受講者の上司が、受講者に
 「研修目的、改善点、研修後に期待する姿」を伝えられていないということです。
 これができていないと、研修中の態度が受身になってしまう可能性があります。
 これでは、せっかく研修に投資しても、期待する効果は得られないでしょう。

ポイント:研修前に受講者と面談を行い(できれば1対1)、
    「研修の目的、改善点、研修後に期待する姿」を伝えること。
 
教育を実施する
 Off-JT(研修)において、受講者が研修に集中できるよう(途中で仕事の対応で
 途中退席しないように)、予め受講者の仕事を他のチームメンバーにアサイン
 したり、チームメンバーから連絡が入らないようにするなど、上司としてできる
 限りのサポートをしましょう。

ポイント:受講者が研修に集中できる環境を整えてあげること。
 
STEP 3:教育後のフォローを行う
学習した内容を整理させる
 研修直後は、受講者は学んだ“気”になるのですが、なかなか実践できていない
 ケースがよく見受けられます。その原因は、主に以下の2点です。

 研修後に学習内容を振り返っていない → 学習内容を忘れてしまう
 学習内容を深く理解できていない → 実践(応用)の仕方がわからない

こういったことを防ぐために、
ポイント:
 研修レポートを書かせること
 水平展開するために社内講師を務めさせる こと

 が有効です。
 そうすることで、記憶を定着させ、自分の頭を整理(知識の体系化)する
 ことができます。そして、十分に理解できていない内容があれば更なる学習
 を促し、理解度の向上を図ります。
 
学習した内容を実践させる
 アメリカの大学の調査によると、学習した内容の62~80%が、研修後90日間
 活用されないままになっているようです。原因は様々ですが、主として下記
 の原因が考えられます。
 
会社側の問題:
研修後、すぐに活用できる機会を与えていない
実践に際して障害がある(例:プレゼンテーションのストーリー構成が、
研修で学んだことと会社のフォーマットに違いがある)
 
受講者側の問題:
「人は変革が必要だとわかっていても、85%の人は行動を起こさない」
byロバート・キーガン(大学教授)
 
会社側の問題を解決するためには、
ポイント:
 研修前に予め学習内容を活用できるような業務やプロジェクトをデザイン
 しておくこと
 活用に際して障害になりそうなことを予測し、その障害への対策を
 うっておくこと
が必要になります。
 
受講者側の問題を解決するためには、
ポイント:受講者が望ましい行動をとったら(実践できたら)、タイムリーに
     褒めること
が必要になります。

そうすることで、受講者本人は成長を実感でき、実践することへのモチベーション
が向上します。スキルが定着するまでは、定期的に褒めてあげてください。
                                   以上

第7回の『人事評価を通じて能力開発を促進する』はいかがでしたでしょうか。
ご意見・ご感想等を弊社までお寄せいただけますと幸いでございます。

末筆ながら、貴社のますますのご発展を心よりお祈り申し上げます。