柴崎 真爾 様

BX BUNKA VIETNAM CO., LTD.社の柴崎 真爾様は、ベトナム人の現地化に向けて尽力されている方で、ベトナム人への育成に人一倍情熱をお持ちなお方です。弊社とは2020年の公開セミナーをはじめ、2021年に部門間連携の向上プロジェクト(下記のプロジェクトの流れを参照)、2022年にはリーダー向けの研修を行うなど長年お付き合いをさせていただいています。 そんな柴崎様に、部門間連携のプロジェクト前の課題やプロジェクト後の成果などをお伺いしました。

インタビューの内容は動画でもご覧いただけます。


■弊社AIMNEXTを選んでいただいた理由は?

今回、AIMNEXTさんにお願いする前、2020年に、工場スタッフが公開セミナーの問題解決研修に参加させてもらいました。今回教育のプロジェクトを考え、研修の会社がないかと探していたときに、そういう経緯もあり、実際に研修に参加した人間が「その(AIMNEXTの)研修が良かったよ」という話を聞き、我々の思いを伝えて、プログラムを検討してもらえないかとお願いしました。

 

プロジェクトを実施する前に、御社の中で部門間連携に関する課題や問題は?

弊社は2010年から開設・設立して稼働を始め、2021年に今回の研修をしましたが、そろそろベトナムの人たち、人数も増えてきましたし、長くいる人間は10年以上勤務してくれるスタッフもいます。そのなかで、弊社としても、どんどん現地化していく、彼らに重要な仕事を任せていきたい思いがありました。

今までは日系の会社ですから、日本人が色んなことを決めて参りましたが、それが逆に、部門間で彼らの壁を作ってしまっていました。日本人同士はある程度のコミュニケーションをするんですが、それ以上一歩踏み込んだところの決定になると、彼らは、「これは日本人が決めていくこと」、「私たちは自分の言われたことをやっていけば良い」というようなスタンスが多く、それにより、いろんな問題が起こっていました。 それを危惧しており、現地化を進める準備をするなかで、彼ら自身が自分で物事を考えてほしいと考えました。

(彼らも)問題点は気付いているところはありますが、解決に至れなかったり、どのようにコミュニケーションして問題を解決していけばいいのか分かっていなかったりしました。頭の中では色んなことを考えていると思いますが、それを具現化できていないようなところがあったので、今回、部門間連携を主題にした勉強をぜひしてもらいたいということでテーマを選びました。

 

部門間で連携できていないことで、実際に起きていた問題や課題など具体例などは?

例えば、我々の業態というのは建設現場に我々が作ったものを納めるのですが、営業が仕事を取ってくる、それを図面に書く、図面にできあがったものを工場に発注する。作ったものを現場に持っていき、施工チームが取り付けるといった製・販・工(製造・販売・施工)が一体の形になっています。 しかし、「こういうものを作ってもらいたい」という思いを持っていても、それを図面にしたときに、思い通りになっていない。となると、ものを作るときに、伝言ゲームでだんだん違う形になっていきます。実際に着いたときにはお客さんが思っているものになっていないものがあったり、色んなトラブル・クレームが起こったりしました。 それは、しかたがなく、起こるべくしておこってしまっているのだけども、そのときに例えば、現場で起きたクレームを工場にフィードバックしたときに、そのクレームが同じ形で2回3回と起こってしまう。(クレームが)末端まで伝わってなかったり、話がうまくいっていないことがよくありましたね。

 

今回全部合わせて6回-7日間のプロジェクトのなかで、御社のなかで、もしくは柴崎様が思われる良かったところ、または大変だったところは?

実際に計画して、AIMNEXTのプログラムは、まず座学があって基本的な所をお伝えいただいて、そのあとに、彼らに今ある問題点をもとにテーマを決めてもらい、チームごとに、解決していく。毎回毎回、自分達が今、直面しているものについて、取り組ませていただいた。彼らがもってきたテーマというのはリアルで、「そういう話ですか」や「この部門間はこのテーマですね」など手に取るようにわかりました。彼らも、本当に一番悩んでいるテーマについて取り組めた。あえて、それをテーマにして、その解決方法もだいたい彼らの頭の中ではわかっているんです。だけど、それができていないということについて、問題意識をもって、それについて集中して取り組んでもらい、リアルな感覚で日々直面しながら、考えることができたというのが一番良かったという風に思っています。

 

何か印象的なテーマは?

その納期、例えば、お客様、メンテナンスチームなどは結構急ぎのものがあると、急いで対応しないといけないが、工場の納期に合わせていくと、それがリアルタイムにお客様のところに対応できない。それについて、どう対応すれば良いのか?というところですね。

このことは、毎日のように、現在進行形ですけど、どのように取り組めばよいのかというテーマがあります。すごくシンプルな話なのですけども、営業はお客様の対応をしてあげたい、工場は自分達が守るべき仕事のペースがある、ここをどのように融合させるのか、それと材料のストックの仕方や契約も絡んでいて、各セクションでスピーディに進めなければならないですね。

このテーマは、今回、チョイスしたいくつかのテーマの中では比較的、シンプルなテーマなんですけども、これを解決すれば、意外に色んなところに応用が利くテーマなんですね。すごくシンプルでコンパクトなんだけども、これができなければ大きなことは絶対できないです。それについて、テーマに取り組んでくれて、今も彼らの改善のテーマにつながっています。それはよかったなと思っています。

 

他にもいくつかのテーマがあって、各グループが課題を課題を探して、課題をどのように解決するか、対策案を立案して実施するというようなプロセスを実施させていただきました。そのなかで、我々に1ヶ月に1回くらいフォローアップ研修という形でフォローアップをさせていただきましたが、毎回、資料を日本人の方にチェックしていただくプロセスがありましたが(上記プロジェクトの流れを参照)、そのときに何か感じられるところはありましたか?

彼らは進めるなかで、資料を作って、それを見てくださいという形で、彼らは彼らで一生懸命作っているんですね。自分自身も含めて、すべて今までに目の当たりにしてきているテーマで、改善しようとしているのも彼らが日々やっていることだったので、わかりやすかったですね。

分りやすかったですけど、一回勉強して、一回これをやった、これで終わってしまうのが良くないですので、フォローアップ研修という形でフォローし継続していくということが一番大変かつ大事です。それを強制的にという言い方は良くないかもしれないですけども、そういう流れにもっていっていただいたということは、良かったのではないかなと思っています。

 

フォローアップ研修後の最後に発表会の結果を見て、皆さまのレベル感など感じられるところは?

正直なところ、結果自体は彼らの持っていく結果というのはだいたい最初のテーマのなかで分かっていました。設定したときに、こういうところに落とし込んでいくんだろうなというところが分かっていました。

けれども、今回、私が研修の中で彼らに学んでもらいたかったことは、そこに至るまでに、各部門の人たち、関連部署の人とよ~く話をしてもらうということ、あえて話をしてもらい、分かっているけれども、口に出して、声に出して、書面にして、ルール化して決めてもらうことでした。

今までは頭で分かっていたけれども、何の形にもなっていなかったんですね、何のルールにもなっていなかった、お互いの阿吽のなかで、こうした方が良いじゃないかなと流れてきたところをしっかり作ってルール化してもらい、ルールから外れたものは、見直さないといけないという基準を作ったことが発表のなかで見えました。

その発表の中でルール化してくれているので、その次のフォローの仕方のチェックがしやすいですね。彼らがそこまでのベースを作ってくれて、半年後にもう一回発表会をしてもらいました。そのときも、色々作らなくて良いよと、(既に)あるものについて、「できている」か「できていないか」、できていないのであれば、それはやり方が間違っていたと思ったから、あえて、また新しいものにして、改善しているのか、それとも、どういう理由でできていないのか、というところを明確に話をしなさいということで、この間、半年後の状況の発表をしてもらいました。検証できるものを作るというのが一番大事かなという風に感じていますね。

 

 

プロジェクトが終わって、我々のフォローが終わったあと、その後の実施状況とかはいかがですか?

(2021年の)12月に1回目の発表会があって、6月に状況の報告をして貰いました。また、今年の12月くらいに1回企画をしてやろうかなと。彼らにはまだ言っていないですけどね。あえて、また同じチームで状況の報告をさせようかなと。また、チームを変えて新しい取り組みだとかをさせればよいと思っていますし、そこは彼らの動きを見ながら、気を抜けない状況はつくってやらないといけない、常に少し緊張感をもって、何か取り組み事項を作らせてあげないといけないと思いますね。

 

半年間にわたるプロジェクトを実施させていただいて、受講者の方の変容や効果は?

2021年に研修のほうに研修を実施させていただきました。2022年、今年から実際に、いろんな組織替えをして、ベトナムにスタッフに要職についてもらっています。これは、たまたまタイミングがあったというか、2021年に研修をさせてもらって、部門間の勉強をして、それは結果として、今年の現地化の準備ができたような形になった。で、実際に今年、彼らの動きをみていると、これは本当に劇的という言葉を使って良いくらい、彼らのなかで打ち合わせをする回数がすごく増えています。何か問題があったときに、みんなで集まって、これについて打ち合わせをしようという話が増えています。

今までは、「これを決めてください」、「こういう問題があるんですが、どうすれば良いですか、決めてください」だったのが、「こういう問題がありますので、いついつにミーティングをします」、「それについて終わったら報告をします」というような連絡が来るようになりました。これは劇的に変わっています。だから、彼らが、何か問題があった時に、当事者が相手のところを責めるだけっていう流れだったのが、何か解決しないといけない、だから関連の人間を集めてミーティングをしますということを自主的に言ってくれたのは非常に大きな効果だと思っています。

 

前回のプロジェクトでもそうだったのですが、最初に報連相であったり、ビジネススキルベーシックといわれる、いわゆる日本の企業で働くとはどういうことか、という研修を行ったのですが、効果はありましたか?

出ているんじゃないですか?てきめんに出ていると思います。もちろん口では、今までも我々も報連相という言葉を使ったり、何かあったら報告しなさいということは、別に初めて研修で聞いた言葉ではなくて、彼らも分かっていたと思います。だけれども、彼らが何回かの研修の中で、自分達で話し合って、問題提起をして解決して、ルールを作るというところまで、自分達で組み立てができたので、ある程度、そのような形でものごとを自分達で決めて進めたいという気持ちが生まれたんじゃないかなと思っています。

当然のことながら、まだ100%ではないです。まだまだ報連相が抜けていたりすることは当然ありますが、彼らが自分達で何かを決めて、それが自分達のルールにできるという風に感じたことが、一番大きいんじゃないかなと。ルールというのは、誰かが決めて、それをただやればよいと思いからは、全く変わっていますね。だから、その辺色々勉強させていただいたのが、すごく糧(かて)になっていると思います。

 

積極性のところでも効果がありましたか?

非常にありますね。「自分達は、決めても無駄だ」。「自分たちが決めることは意味がない」、「決めることは全て日本人の仕事」という風な頭がありました。実際に、そういう部分は日本人がしてたかもしれないです。これは、自分たちの経験の中でも、こうした方が良いというゴールを先に決めちゃうもんですから。

だけども、それが100%正しくもない、彼らは彼らなりの動きをやってくれると、なるほど、「そういう方ががいいのかな」というところも、こっちも学びがあるんですね。ですから、彼らに教えてもらうことがたくさんあって、そういう姿勢で日本人もいるということですね。「なるほど、そうした方が良いのか、じゃ、やってみ(て)」と、やらせてみる。まずいかもしれないな、それでやったら時間がかかるんじゃない?というところもあえてやらせてみる。彼らに失敗してもらう、また改善してもらう。そんなに余裕がある会社ではないですけども、そういう時間は彼ら、必要なんじゃないかな。それをやらせてあげたことが、さらに、また積極性につながっているんじゃないかな。という風に思いますね。

 

(写真)受講生・AIMNEXTのスタッフとともに写真撮影に向かう柴崎様(前列左から2人目)

 

弊社AIMNEXTのサービスについて、プロジェクトの進め方などで、何かご意見、ご要望などは?

実際の研修自体は、ずっと私も張り付いていないですから、研修の一番最初の始めのところで、彼らに顔を出して、AIMNEXTのスタッフと話す機会も、それくらいしかなかったですが、基本的に、おそらく講師の先生がすごく一生懸命やってくださったと思いますね。彼らも飽きることなく、いろんな方面で勉強ができたというのは、これは一番良いのかなと思います。やっぱり日本の会社だけれども、ベトナムのスタッフというのはベトナム人ですから、ベトナム人の人からベトナムの言葉で学ぶ、けれど、日本人的な感覚というところも織り交ぜながら、やっていただけたというところ。これはやっぱり、ありがたいですし、そのまま継続してもらえれば良いのではと思います。 いろんな教育のやり方というのも、年代によって色々変わってきていて、PDCAの回し方がちょっと変わっていたりだとか、時代によっては変わってきているんですね、流行り廃りじゃないけども、やっぱり流行りの教え方だとか、いろんなことがプログラムの中にはあると思いますね。

だから、そういうのも織り交ぜてもらいながら、いっぺん作ったスタンダードは、スタンダードだけれども、固定ではない。あくまでも基準は基準であって、その場、その場だとか、いろんな会社だとか、その業態によってとか、その構成されるスタッフサイドによって、教えるべく物はまた変わってくると思いますね。レベル感も変わってくると思いますし。その辺をフレキシブルにやっていただければ、さらに良い研修をしていただけるんではないかなという風に思いますね。

 

最後にAIMNEXTに対するご意見や今後の改善点があればお伺い出来ればと思います。

おそらくいろんな会社さんで研修をされていると思います。たまたま私たちは製造業ですけど、いろんな業態のところ、サービス業や金融業もあるかもしません、いろんなところでやっておられる、そのときに、働いている方、仕事をする方は違うと思うんですね、そういう異業種の仕事の進め方を、こちらも学びができるようなタイミングがあればよいのかなと。

今はベトナムのスタッフを研修させていますけども、私たち、日本人もまだまだ学ばないといけないことがたくさんあるんですね。ベトナムのスタッフと、どのように取り組んでいくのか、ベトナムで仕事をしていくために、どういうものが大切なのかということをあえて、また勉強しないといけないのかなと。彼らばっかりに、勉強しなさい、勉強しなさいではなく、一緒に学ばないといけないところはたくさんあると思います。また、そういう機会を与えていただいて、一緒に彼らも勉強する、私たちも勉強するという形のものが作れたらいいなと思っています。そういう機会を与えてもらえればと思っています。

柴崎様、インタビューにご協力いただき有難うございました!

 

 

インタビュー風景に加え、会社や工場の雰囲気などを動画にてご覧いただけます。